税金・確定申告公開 2026/06/23読了 14

副業の固定資産の減価償却 — 10万円以上の備品の経費化

副業で購入した10万円以上のパソコン・カメラ・デスクなどの固定資産の減価償却を解説。耐用年数表、定額法・定率法の選び方、青色申告の30万円未満特例まで実例つきで整理します。

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副業で10万円以上の備品を購入すると、その年に全額を経費にできず、複数年にわたって分割で経費化します。これが「減価償却」です。

ただし青色申告者には特例があり、30万円未満なら一括で経費化できます。この差を知らずに高額備品を購入すると、節税効果を取り逃すことがあります。

この記事では、副業者の固定資産減価償却の基本と、青色申告の特例を整理します。

本記事は2026年5月時点の制度をもとに作成しています。最新の規定は国税庁でご確認ください。

結論: 10万円・20万円・30万円のラインを覚える

副業者の備品購入の経費化ルールは、購入金額のラインで決まります。

購入金額経費化の方法
10万円未満その年に全額経費 (消耗品費)
10万円以上20万円未満一括償却 (3年で均等償却) または通常の減価償却
20万円以上30万円未満青色申告なら一括経費化、白色なら通常の減価償却
30万円以上通常の減価償却 (耐用年数で分割)

青色申告の30万円未満一括経費化は副業者にとって大きなメリットです。

なぜ減価償却が必要か

10万円以上の備品 (固定資産) を一年で全額経費にすると、その年の所得が大きく圧縮され、税負担が偏ります。実際にはその備品を数年使うため、税務上は「使う期間にわたって少しずつ経費にする」のが原則です。

これが減価償却の基本思想です。

耐用年数の目安

備品ごとの「耐用年数」(国税庁が定める使用想定年数) は以下です。

備品耐用年数
パソコン (PC)4年
ノートパソコン4年
サーバー5年
スマートフォン10年 (実態は3-4年だが)
デジカメ・ビデオカメラ5年
一眼レフカメラ・レンズ5年
業務用デスク8年
業務用椅子8年
自動車 (普通乗用)6年
自動車 (軽自動車)4年
プリンター・複合機5年
エアコン6年
内装工事15年 (建物附属設備)

詳細は国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」を参照。

減価償却の計算方法

副業者がよく使う計算方法は「定額法」です。

年間償却額 = 取得価額 ÷ 耐用年数

計算例: 18万円のノートPCを購入 (耐用年数4年)

年間償却額 = ¥180,000 ÷ 4年 = ¥45,000

各年の経費計上:
- 1年目: ¥45,000
- 2年目: ¥45,000
- 3年目: ¥45,000
- 4年目: ¥45,000
合計: ¥180,000

ただし1年目は購入月によって日割り計算が必要です。6月に購入した場合は1年目は7ヶ月分の¥45,000 × 7/12 = ¥26,250になります。

月割り計算

1年目の償却額 = 年間償却額 × 使用月数 ÷ 12

例: 8月購入なら8月から12月まで5ヶ月分。 ¥45,000 × 5/12 = ¥18,750

一括償却 (10-20万円の場合)

10万円以上20万円未満の備品は「一括償却資産」として3年で均等償却できます。

年間償却額 = 取得価額 ÷ 3年

計算例: 15万円のPCを購入

年間償却額 = ¥150,000 ÷ 3年 = ¥50,000

各年の経費計上:
- 1年目: ¥50,000
- 2年目: ¥50,000
- 3年目: ¥50,000

一括償却の特徴:

  • 月割り計算なし (年単位で均等)
  • 通常の減価償却よりシンプル
  • 償却資産税の対象外 (固定資産税の節税)

青色申告の30万円未満特例

最大のメリットがこれです。青色申告者は30万円未満の備品を一括経費化できます (年間合計300万円まで)。

計算例: 28万円のPCを青色申告で購入

1年目: ¥280,000を全額経費に計上

通常の減価償却なら4年で¥70,000ずつだったところ、1年目に全額計上できます。所得税の節税効果が前倒しになります。

特例の条件

  • 青色申告事業者であること
  • 取得価額30万円未満
  • 年間合計300万円が上限

申告時の処理

通常の青色申告決算書に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を添付します。会計ソフトでは「少額減価償却資産」として登録すれば自動処理されます。

副業者が買う典型的な備品の処理

副業エンジニアが買うことの多い備品の例を整理します。

MacBook Pro (約30万円)

  • 30万円未満なら青色一括経費化が最大効率
  • 30万円ピッタリの場合: 詳細は税理士相談 (29万円台にする買い方も)
  • 30万円以上: 4年で¥75,000ずつ減価償却

iPhone (約15万円)

  • 一括償却 (3年均等) で¥50,000ずつ
  • または青色一括経費化で¥150,000を1年で
  • 業務用と個人用を分けるか、業務按分するか判断

業務用デスク・椅子セット (約20万円)

  • 椅子と机を別々に購入なら個別に判定
  • セットで20万円なら一括償却 (3年) 対象

カメラ機材 (本体+レンズで25万円)

  • 本体とレンズは別資産として判定
  • 各々10万円未満なら消耗品費
  • 各々10-20万円なら一括償却
  • 青色なら全部一括経費化可能

サーバー機 (約40万円)

  • 30万円超なので通常の減価償却
  • 耐用年数5年で¥80,000/年

副業按分の考え方

備品を業務専用ではなく業務と個人で兼用する場合、按分が必要です。

業務分の償却額 = 年間償却額 × 業務按分率

例: ¥180,000のPC、業務按分70%、耐用年数4年

業務分の年間償却額 = ¥45,000 × 70% = ¥31,500

按分根拠 (使用時間比 or 機能の業務関連性) を記録しておきます。

売却・廃棄時の処理

固定資産を売却・廃棄した場合は別の処理が必要です。

売却した場合

売却収入 - 帳簿価額 = 売却損益

売却益は事業所得 or 譲渡所得として申告。

廃棄した場合

廃棄時点の帳簿価額を「除却損」として経費計上できます。

除却損 = 帳簿価額 (残存価値)

よくある間違い

1. 10万円超の備品を消耗品費で計上

10万円以上は減価償却対象。消耗品費で一括計上すると修正申告対象になります。

2. 一括償却と通常償却を混同

一括償却 (10-20万円、3年均等) と通常償却 (耐用年数で月割り) は別の制度。会計ソフトで適切に分類する必要があります。

3. 30万円未満一括特例を忘れる

青色申告なのに30万円未満を通常償却している。特例を適用すれば1年で全額経費化できることを知らない。

4. 業務按分を忘れる

100%業務利用と申告しているのに、実際は私用兼用。税務調査でリスク。

5. 売却時の帳簿価額を忘れる

数年使った備品を売却する際、帳簿価額 (残存価値) を知らずに「丸ごと収入」として申告。

よくある質問

Q. 副業の30万円未満特例は事業所得限定?

A. はい、青色申告事業所得者のみ。雑所得の副業者は使えません。事業所得として青色申告できる条件を満たす必要があります。

Q. 自宅のPCを副業に流用する場合は?

A. 「使用開始時の中古価額」で計上できます。新品時の価額から減価相当を引いた価額を取得価額として、残りの耐用年数で減価償却します。

Q. 経費計上した固定資産を売却する際の処理は?

A. 売却収入から帳簿価額 (取得価額 - 累計減価償却額) を引いた差額が売却損益です。会計ソフトで自動計算されます。

Q. 30万円ピッタリのPCを買う場合は?

A. 30万円未満特例の対象外です。実務的には消費税込で30万円未満になるか確認、または29万円台の機種を選ぶか、通常の減価償却 (4年で分割) を受け入れるか判断します。

Q. 業務用ソフトウェアの減価償却は?

A. ソフトウェアは耐用年数5年で減価償却します (一部の業務用ソフトは3年)。サブスクは消耗品費・通信費としてその月の経費。

Q. 副業者が初年度に高額備品を買って赤字になった場合は?

A. 雑所得なら赤字を本業給与と通算できません。事業所得の青色申告なら損益通算可能。副業を本格的にやるなら事業所得 + 青色申告がほぼ必須です。

まとめ

副業の固定資産減価償却は購入金額のラインで判断します。

  • 10万円未満: その年に消耗品費
  • 10-20万円: 一括償却 (3年均等)
  • 20-30万円: 青色なら一括経費化、白色は通常償却
  • 30万円以上: 通常の減価償却 (耐用年数で分割)

青色申告事業者なら30万円未満特例で大きな節税効果。副業を本格的にやるなら青色申告一択です。

副業の手取り計算はClimbizの手取りシミュレーションで試算できます。

本記事は一般的な情報提供です。個別の判断は税理士にご相談ください。

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